Intelligent Technology's Technical Blog

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「Android Project Ara と ものづくりの未来」講演行ってきました

こんにちは。中山です。

先日、香川県高松市で開催されました、「Android Project Ara と ものづくりの未来」という講演に参加してまいりました。
この講演は、早稲田大学大学院客員教授の丸山不二夫氏による、同テーマでの全国縦断セミナーのひとつとして、香川県高松市で開催されたものです。

内容としては、単に「Project Ara」だけではなく、それが登場するにいたった背景、また今後の展望についても、いろいろと面白いお話を聞けましたので、私の感想も交えて、レポートしてみたいと思います。

会場の様子

当日の講演は、香川県高松市のサンポートという、高松駅に隣接する施設で開催されました。

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四国の香川県という、ヘンピな場所でも、こういうIT系のイベントは意外と開催されています。
しかし絶対的な人口が少ないため、参加するメンバーは、いつも同じような顔ぶれになっています。(みんな知り合い状態。)

当日の様子は、こちらでもレポートされていました。

とにかく、香川県の人々も、ただ単にうどんばっかり食べているわけではない、ということです。(いや、うどんはもちろん食べていますけれども!)
 

Project Ara とは

そもそも「Project Ara」とは、世界の 60 億人に、スマートフォンを普及させる、という目的のために、Google が始めたプロジェクトです。特徴としては、

といったことが挙げられます。

概要としては、以下の動画が参考になるかもしれません。

また、以下の記事も参考になるでしょう。


 

Next Billions

2013 年時点で、世界のスマートフォン普及率は 30% 程度となっているようです。
普及率が高いようにも見えますが、裏を返すと、まだ何十億人の人々が、スマートフォンと、それによるインターネットの世界に触れていない、ということになります。

この「次の 10 億人」に、スマートフォンを普及させるためには、端末の低価格化が必要になってきます。
この答えとして、Google が「Project Ara」で示しているのが、ハードウェアのモジュール化、オープンソース化による、低価格スマートフォンの実現、ということのようです。

今現在、インターネットの恩恵にあずかれていない「次の 10 億人」が、手軽にインターネットを使えるようになったとき、ITの世界は、次の新しい段階に入っていくだろう、ということを講演の中でも言われていました。
 

3D プリンタの登場とハードウェア開発の民主化

「Project Ara」での、スマートフォンのモジュール化というアイデアに関して、キモになってきますのが

「3D プリンタ」

です。
「Project Ara」が想定するスマートフォンのハードウェアモジュールは、「3D プリンタ」を用いて作成されます。
「Metamorphosis」という、Google が無償で提供する開発ツールを用いて、回路設計やテスト、最終的なハードウェアモジュールの 3D プリンタ用データの作成まで行えるようになるようです。
ちょうど、「Android Studio」で、Androidアプリを作成するのと同じように!

3D プリンタの普及と、このような開発ツールの普及により、「誰でも」ハードウェア開発ができるようになります。ちょうど、ソフトウェアの世界でオープンソース化が普及したように、ハードウェアの世界でも、オープンソース化のような動きが出てくる、とのことです。
これはつまり、これまで企業だけがになっていたハードウェア開発というものを、世界中の誰でもが行えるようになる、という意味での「ハードウェア開発の民主化」につながっていくことになります。

講演の中では、これを「第4次産業革命」という言葉で形容されていました。(第1次は機械化、第2次は自動車、第3次はIT化。)
 

「Project Ara」が描く未来は・・・

こういったお話を聞いてはいたのですが、正直なところ、私は当初、これを、遠い未来のお話、くらいにしかイメージできませんでした。何十年後かに、こうなるかもしれないなぁ、という感じ。

しかしよく考えてみますと、10 年前に、現在のようなスマートフォンの普及が想像できましたでしょうか!?それを考えると、10 年後に、「Project Ara」が描く未来が実現されている可能性は、じゅうぶんにありえます。

ソフトウェアの世界ではすでに、インターネットの普及と、ソフトウェアのオープンソース化の普及で、私が住んでいるような、うどん粉だらけのヘンピな田舎からも、世界中のソフトウェア資産にアクセスし、利用できるようになりました。
ハードウェアの世界でも、今後、同じようなことが起きるとしても、ぜんぜん不思議ではありません。

3D プリンタを用いて、だれでも「モノづくり」に簡単にたずさわれるようになる、そのような最先端の事例として、講演の中では「Local Motors」というアメリカの企業の事例が紹介されていました。

この企業では、

  • 電気自動車を、
  • 3D プリンタを用いて
  • 世界中から集まったコミュニティの手で

開発しています。詳しくは上記のリンク先を参照いただくのが早いのですが、とにかく、このような形で、自分も何か「モノづくり」に参加できるのかも?!と思わされる事例でした。

「Project Ara」と、それによるハードウェアのオープンソース化・民主化によって、誰でも、どこでも、「モノづくり」に関わることができるようになります。それはつまり、私が住んでいるような、いわゆる「地方」からも、簡単にアクションを起こせるようになる、ということだと思います。

このビッグウェーブをうまく乗りこなせるように、私も「モノづくりの未来」を、少し真剣に考えていきたいなぁと思っています。