Intelligent Technology's Technical Blog

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「AI 人工知能セミナー IN KAGAWA」で感じたこと

こんにちは。中山です。
少し前になりますが、香川県で行われました「AI 人工知能セミナー IN KAGAWA」に参加してまいりました。

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基調講演は東京大学大学院工学系研究家特任准教授の松尾豊先生。
人工知能は人間を超えるか ーディープラーニングの先にあるものー」という講演を拝聴しに行ってまいりました。


私自身、以前、松尾先生の「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」という書籍

人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)

人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)

を読んでいたこともあり(理解しきれてはないんですけど)、また、先生の出身が、私と同じ香川県であること、また、実は私とあんまり歳も変わらん、ということから、これは行かないといけない、と思いさっそく申し込みをしたのでした。

講演の内容としては、先生の同著作の内容を噛み砕いて紹介していただくスタイルでした。(今回の講演は、ソフトウェア界隈に限定した内容ではなくて、人工知能全般としてのお話でした。)
私が書籍を読んだだけでははっきり見えてこなかったような、全体的なイメージも掴めたような気がいたしました。

人工知能の研究については、これまでも何度かブームがあったようで、
古くは 1956年から1960年ごろの第一次ブーム(探索・推論の時代)、
1980年代の第二次ブーム(知識の時代)、
そして、2013年ごろから現在まで続く、第三次ブーム(機械学習・ディープラーニングの時代)
となっています。

この現在の第三次ブームを支えていますのが「ディープラーニング」です。
この「ディープラーニング」、詳しい説明は書籍などにおまかせしますが、その概念自体は以前から存在していたそうです。
ただ以前は、これを検証できるような高スペックなコンピュータがあまりなかった。
一方近年、コンピュータのスペックがますます高度化する中で、この「ディープラーニング」についても、ようやく現実的に検証できる環境が整ってきた、さらに、インターネットの広がりに伴い、学習対象となる「データ」が充実してきた、ということで、まさにこのタイミングで、人工知能の第三次ブームとなった、ということでした。

以前、当ブログでも、Google の「Google Cloud Vision API」という画像解析のツールを使ってみたり、
iti.hatenablog.jp

また、「DeepBeliefSDK」という画像認識のライブラリを試したりしていました。
iti.hatenablog.jp

さらには、私もよくお世話になっている「Google翻訳」サービスも、2016年からはディープラーニングを用いた方式に変更され、その結果、翻訳の精度が劇的に向上した、と言われています。(確かに、前みたいな変な翻訳はなくなったかも。)
日本語はまだまだ難しい部分があるようなのですが、英語やスペイン語などでは、ディープラーニングを用いた翻訳が、ほぼ人間の翻訳者レベルにまで近づいた、とも言われているようです。

これらはまさに「ディープラーニング」の恩恵を受けたサービスであり、最先端の人工知能が、私たちの身近にもすでに存在する、という事例の一つだと思います。

講演の中で言われていましたのは、「ディープラーニング」によって、人工知能(AI)がますます発展し、AI(そして、機械・ロボット)が、いずれ、世界を「認識」できる「」を持つことになるだろう、ということでした。

現在でも、たとえば工場などの現場では、ロボットが作業を自動化している、というのは多々あると思います。
しかし、それらはいずれも「人間が設定した」「人間が判断をくだした」内容に沿って、決められた作業を実行している、というだけのものである、とのこと。

一方で「」を持ち、認識・判断できる人工知能が備われば、自らが状況を判断し、より複雑な作業をこなすことができるようになるだろう、ということでした。
それは例えば、レストランのキッチンで調理を行うロボットであったり、農作物の収穫を自動で行う機械であったり、また医療の現場で、症状を判断する機能であったりします。

このように AI、そしてロボットが活躍する未来は、一時期、なんか騒がれていましたように、人間の仕事がすべてロボットに奪われてしまうのではないか、という不安を抱いてしまうかもしれません。
しかし私自身はそうは考えていなくて、人間は、より自由な時間を手にすることができ、またそこから、(現時点では思いつかないような)新たなビジネスも生まれてくるのだろう、と、まだ現時点では楽観的にとらえています。(この「新たなビジネス」を、今のうちからキャッチすることができていれば、うまいことなるのかもしれませんけど、これはわかりませんね。)

しかし昨今の人工知能ブームの中では、「人工知能」「AI」というキーワードが、ともするとマーケティング先行で使われているような場面もあるのかもしれません。
実際の中身は全然(学問的に言うところの)人工知能を使ってないのに、「人工知能搭載!」みたいになっているものもあるのかもしれません。
こういった情報を正しく判断していくためにも、私たちは、ソフトウェア開発者としても、また消費者としても、正しい人工知能の知識を持っておく必要があるのかなと思いました。

講演最後の質疑応答の時間、受講者の方から、
「AI は、このようなパターンの解析はできるのか」
「AI は、これとこれを見た目で判断できるのか」
といった、具体的な事例について、いろいろと質問が出ていました。

ディープラーニングによる画像解析の精度向上が、このような、ある特定の領域で成果を発揮する、というのも、もちろんあるとは思います。
しかし実は、本当に私たちが理解しないといけないのは、今後の AI の発達によって、私たちの住んでいる世界そのものが、大きく変わっていく可能性があるということ、また、その変化に、どう対応していけるのか、ということなのではないかと感じました。
AI が、より私たちの生活に密接に関わってくる将来を、現時点から、どれだけ想像することができて、そして準備できるか、ということが、実は重要なのかなと感じておりました。

最後に、私は、松尾先生に
「ソフトウェアの開発者も、ディープラーニングの知識、ちょっとは持っておいた方がいいですかねー」
みたいなことを質問しようと思って、やめました。
なぜなら、ソフトウェア開発者こそ、今後は(というか今からでも)、AI、そしてディープラーニングの知識・技術を持つ、ということは、多かれ少なかれ、ほとんど必須なのではないか、と大いに感じたためであります。

私たちが日々開発するソフトウェアプロダクトに関しても、AI、そしてディープラーニングの技術をうまく取り込んで、うまくそれをプロダクトのメリットにつなげていくことができれば、またもう一つ次のステップが見えてくるのではないか、と思いました。